チベット大虐殺と朝日新聞#13

チベット大虐殺と朝日新聞#13
<ようやく、民主党のドン、小沢一郎の番となった。>
 国会の会期中にもかかわらず、2007年12月6日、民主党代表の小沢一郎は、衆参両院の国会議員45人を引き連れて北京詣に向かった。当然のことながら国会の運営は渋った。
  人民大会堂胡錦濤と会ったときの小沢の様子を、「週刊新潮」は次のように報じている。
  「ちょこんと椅子に座った小沢氏は媚びたような笑いを浮かべ、『ただいま主席閣下自らですね、今回の参加者の団員の者と写真を撮っていただきまして・・・、そしてまた、皆と握手までしていただきまして・・・先例のないサービルをしていただいて、本当に感謝しております』と、小さな、そして震える声で、そう言ったのだ。」(「週間新潮」2007年12月20日)
<まあ、この程度であろう、13億(?)の人民を統合している胡錦濤と、かつては自民党の金庫番(?)をしていたがやっと野党の党首になれた日本の大物政治家(?)小沢とでは、勝負にならない。ヤクザの親分とチンピラの開きがあるだろう。政治の世界も何人殺したか殺さなかったかの違いである。小沢は一人も殺していないので、チンピラさえなれていないのかもしれない。>

  2008年に入り、チベット問題が浮上した後に、小沢は講演会でこのようなことを述べている。
 「民主党小沢一郎代表は17日、北海道釧路市内で講演し、チベット問題に関して、『中国の政権が抱えている矛盾が民族問題を契機に持ち上がってきた。共産主義独裁の政権と、経済や政治の自由(の両立)は原理からして成り立たない』と指摘。『中国共産党の指導者にも言っているが、本当に中国共産党政権が生き延びようとするなら、時代の変化に応じて自分自身が変化しなければならない』と述べ、中国指導部は体制変革を模索していくべきだとの持論を展開した。」(「産経新聞」2008年4月17日付)
 今更何を言うかというところだろう。胡錦濤の前では何も言えず、ただ右顧左眄(うこさべん)のみであった男が、国内に帰ってくると威勢のいいこと。また実際に胡錦濤が訪日した際にも、小沢は何も物を言えなかった。内弁慶その人である。
  
  2008年5月6日、中共胡錦濤が来日した。チベット問題、横暴を極めた聖火リレーで世界の顰蹙(ひんしゅく)を買っている当事国の最高責任者がわが国に堂々とやってきたのである。まずは、6日夜に、日比谷公園内の一画を占める日比谷松本楼福田康夫総理の主宰する非公式夕食会に参加した。この場で、胡錦濤は、日本にパンダを貸与することを表明した。上野動物園のパンダ、リンリンが、胡錦濤の来日に合わせるかのように死んだために、申し出たのだ。これを日本のマスコミは日中友好の象徴であるかのように取り上げた。それも一頭に付き1億円のレンタル料金を支払うというから、ばかばかしい話である。パンダとは中共の動物ではなくチベットの動物である。勿論日本のマスコミはチベット問題とパンダに関して、報道などしなかった。
  7日に福田総理が首脳会談を行なったが、ここでも日中間の懸念事項に触れることはなく、ひたすら「戦略的互恵関係」という抽象的な概念を繰り返すのみであった。こうしたことから、パンダ以外は何も決まらなかった云々といわれても仕方がない胡錦濤の来日であった。

  国民新党を除く、自民、公明、民主、共産、社民の与野党の党首・幹部が5月7日午後、都内のホテル・ニューオークラで胡錦濤と相次いで会談した。
  自民党は、伊吹文明幹事長ら党幹部9人が会談した。伊吹は「国民の皆さんの関心があるギョウザや東シナ海など個別の問題について両国首脳側で解決に向け積極的に話し合っていく素地が確認されてよかった。具体的に進むことを期待したい」と、前日に行なわれた全くの空疎に過ぎなかった日中首脳会談を評価した。そして、本来であれば第一に問いただすべきチベット問題については直接触れることすらなかったのだ。会談に同席した二階俊博総務会長は「胡錦濤は首脳会談に大変満足そうだった。国の政治情勢は円満に運営できているとみえ、非常に自信に満ちた表情だった」と評したという。

   <自民党は党首福田が「相手に触れてもらいたくないことは言わない」と言ったことに合わせる統一行動をとっているようだ。まさしく紳士の国の与党の幹部である。見上げたものである。相手も確かに困っているはず。世界からチベット問題で攻撃されている、隣の国の日本だけでも、この嫌な問題に触れてくれないだけでも、どれだけ心休まることか。日本は相手の立場に立って考える一等国だと一応思ってくれただろう。ところが、今度日本が窮地においこまれると、この恩は忘れて、その時の政治的趨勢を鑑みながら遠慮なく攻撃してくるであろう。そのときはじっと日本は耐え、それを恨むことなく、また中共が窮地においこまれると、相手の立場に立って考えるのであろう。まさしく聖徳太子の「和を以って尊し」の国の代表者である。>

  公明党太田昭宏代表が直々にホテルを訪問した。ここで太田はチベット問題について若干触れた。平和的な解決を望むと表明したのだ。これに対して、胡錦濤は一蹴。「中国側は対話の扉を開けている。ダライ側が国内の分裂活動や暴力、五輪破壊を停止すべきだ」と述べた。勿論、媚中派創価学会の手先にしか過ぎない公明党の太田代表は、何も言い返せなかった。
   民主党も、小沢一郎代表自身がホテルに出向いた。前年12月の恥ずべき朝貢外交を振り返り「胡主席が約4百人の訪中参加者の一人ひとりと握手していただいたことを心から感謝する」と謝意を表明した。女子高生並の感覚を披露したのだ。握手をここまで大の大人が感激するのだろうか。小沢と言う男の神経を疑う。そして、媚び諂いはさらに続いた。
 「私は与党を離れて15年になるが、しなければならない改革を未だに実現できていない。胡主席のリーダーシップを見習いたい。」
<そもそも胡錦濤のリーダーシップとは、89年チベット騒動に際して大弾圧を行い、勝g小平に認められたところから始まった。小沢は政権獲得のためには、自身を逆らう者を胡錦濤張りに弾圧するということなのだろうか、小沢の締め付けの強さは定評があると聞くが、胡錦濤親分ぐらいの粛清をする迫力が欲しいということか。まあせいぜい、お気張りやす。>
  共産党志位和夫委員長自身がホテルに出向いた。共産主義者同士の会話である。宗教心に厚いチベット人民に対する憐憫の情など存在するはずもない。全く共産主義者らしい会話が行なわれただけであった。
  最後に特筆すべきは社民党である。社民党でも福島瑞穂党首自身がホテルに出向いた。そこで彼女は次の発言を行なった。「わが党は憲法9条を守る立場で平和に心を砕いてきた」と胡錦濤にアピールした。日本に核弾頭を数百機向け、軍拡に次ぐ軍拡を繰り返している軍国主義国家の元首に、日本の非武装化に貢献していることを誇ったのだ。これに対して胡錦濤は「社民党が一貫して朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制に努力してきたことを評価する」と述べた。軍国主義者の口から「平和体制に努力してきたことを評価する」などと褒められて、<さぞかし瑞穂ちゃん、嬉しかったでしょう。せいぜい、日本のためではなく、中共のために、頑張ってください。土井たか子おばあちゃんが北朝鮮のために一杯貢献なされたように。>
   胡錦濤朝貢したのは現役の政治家ばかりではなかった。中曽根康弘は歴代の総理大臣を集めての朝食会を主催した。小泉純一郎が欠席し、安倍晋三東トルキスタンの人権状況について胡錦濤に問い正した。
<外国の元首は普通迎賓館にでもおいで願って、歓迎するのが筋だと思うのだが、日本の政治の指導者の方々、ホテルニューオークラ詣をなされて、ホテルニューオークラが一時、人民大会堂内の迎賓館に変わったようだ。朝貢制度も時代とともに変遷するのだろう。>つづく