チベット大虐殺と朝日新聞#12

チベット大虐殺と朝日新聞#12
<ここでもう一度確認しておくと、岩田温の本、『チベット大虐殺朝日新聞』の解説を木庵が書いているということ。<  >の枠組みの中は木庵のコメントということになる。それ以外は本のサマリである。そのサマリを木庵が書いているのであるから、木庵が良しと思うところを多く取り入れているのは当然ということになる。さて、媚中自民党議員から民主党幹事長鳩山由紀夫に著者の矛先は向く。木庵の個人的な感じではあるが、この男嘘がある。その場限りの理屈をつける癖がある。それに対して弟、郁夫(漢字?)だったかな、彼の方が正直である。一寸正直すぎて余計なことを言い過ぎるところはあるが。アメリカの新大統領オバマも言い過ぎるのが気になる。まだ大統領にもなっていないのに、アメリカの方針を喋りすぎる。政治なんていうものは喋ればよいというものではない。自分の国の考えをある意味で秘密にしておくぐらいの腹芸がないと、相手に舐められてしまう。あまりにもアメリカの手のうちを喋りすぎるから、株価は下がる一方だろう。それにオバマに対するアメリカ国民の期待が高いだけに、期待はずれになったときに、彼への失望、それが恨みへと発展して、本当にケネディーではないが殺害されることだってありうる。今私の心配していることは、この反動である。>
 
   2007年11月23日、民主党の幹事長鳩山由紀夫は、来日中であったダライ・ラマと会談を行なった。このとき鳩山に対して、ダライ・ラマは、「チベットの独立は求めていない」と言明した。チベット中共に対して求めるのはあくまで「高度な自治」であることを明らかにしたのだ。その上で、ダライ・ラマは「(高度な自治を求めて)右手を中国政府に差し出しているが、何も得られていない。だから、左手で日本などの助けを求めている」と訴えた。これに対して鳩山は「右手が満たされるまで、左手を力強くサポートさせていただく」と応じた。つまり、鳩山はダライ・ラマの求めるチベットの「高度な自治」に賛同し、チベット人による「高度な自治」の獲得に至るまで、ダライ・ラマを支援することを明らかにしたのである。軟弱な「鳩」らしからぬ、たいした男意気だと、多くの心ある日本国民が鳩山を見直したはずだ。ところが、中共の動きが素早かった。鳩山とダライ・ラマの会見から3日後にあたる11月26日、「中華人民共和国日本大使館」の名で、民主党に警告を送りつけてきたのだ。鳩山がこの非難に震え上がったであろうことは、想像に難くない。その抗議文を次に記する。
 「中国側は鳩山幹事長ダライラマと会見し、彼への支持を表明した言論に大変驚き、強い不満の意を表します。
  ダライラマは宗教の衣をまといながら、反中国分裂活動を行なう政治亡命者です。今回、日本への立ち寄りの根本的な意図は日本から彼の反中国分裂活動への支持を求め、改善発展しつつある中日関係を妨害し、破壊することです。中国駐日大使館は今まで、各種の形で数回にわたって、貴党に中国側の関心を表明し、貴党と中国のとの友好関係を維持するために、貴党の指導者並びに貴党所属国会議員が彼の真相を見極め、中国側の関心を理解し、尊重し、慎重にこの敏感な政治問題に対処し、ダライラマに会わないようと申しいれました。鳩山幹事長は貴党の主要指導者として中国側の関心を顧みず公然とダライラマと会見し、公然とダライラマへの支持言論を発表しました。われわれはこのことに大変理解に苦しみ、遺憾の意を表します。
  中国側は民主党が中日関係の発展を重視する姿勢を賞賛します。貴党の小沢一郎党首は来月上旬民主党大型代表団を引率して訪中することになっています。中国側はこのことを大変重視し、民主党との友好関係を大切にしていきます。われわれは貴党が鳩山幹事長ダライラマとの会見がもたらした消極的な影響を重視し、中国側のチベット問題における中国との関係を引き続き正しい方向に向かって健全的に発展できるようにと厳正に要請します」

<この書簡は、中共の本質を如実に表している。野党である民主党にまで圧力をかけてくるのである。チベット問題は、どこまでも内政問題であり、ダライラマは衣を着た政治亡命者、反中国分裂活動家、中共の観点は一切ずれない。ダライラマに会ってくれるなと細かい指示を出している。小沢中共詣を前にして、民主党に脅しにかかっているのである。さて、民主党鳩山の反応はどうであったのであろうか。>

小沢一郎率いる訪中団が数週間後に迫った状態で、中共による民主党への警告は絶大なる効果を発揮した。11月牧野聖修衆議院議員を中心に計画されていたラビア・カーディルの勉強会を鳩山は中止させたのである。

ラビア・カーディル(新疆ウイグル関係)の記事は、以下の私のブログを参照してもらいたい。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaonaitousa/22798235.html  >

 このラビア・カーディルチベットと並んで中共大侵略、大虐殺が悪名高いウイグルの現状を日本に報告する予定だったのだ。しかし、中共の恫喝に屈し、媚び諂うことしかできぬ鳩山は、この勉強会を中止させたのである。産経新聞の記事(2007年12月7日)によれば、「独立を唱えていないダライ。ラマ14世とウイグル(人活動家)は違う」と、民主党の幹部は語ったという。全くもって笑止千万な話である。中共による大侵略、大虐殺を受けた国民の悲痛な訴えに耳を傾けようというのだ。チベットであれ、ウイグルであれ、ともに重要な話である。リベラルを気取るなら、「人権」の擁護が必要である。チベット人ウイグル人の人権を認めないというなら、「人権」、「人権」と声高に叫ぶのはひかえるべきだ。まことに情けない鳩山由紀夫であり、民主党である。

   この話には続きがある。民主党中国共産党が定期的に開いている「交流協議機構」で、ダライ・ラマ=鳩山会談の問題が指摘されたのだ。
  「中国側は、11月に行なわれた民主党鳩山由紀夫幹事長とチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の会見に言及。『中国人が日本に親近感を持っていない状況を改善するにはマイナスだ』『チベットの政治は安定している。私たちの14世への要求は、中国の分裂活動をやめることだ』などと述べた。鳩山氏が会談で、14世が中国に求めている『高度な自治』を支持したことを批判したものとみられる。これに対し民主党側は、『鳩山氏の個人的会談だ。中国の内政問題なので、チベット独立にコメントする立場にない』と釈明した。」(「産経新聞」2007年12月8日付)
<「釈明」というより、「墓穴を掘った」と表現した方がよいだろう。よく自民党の大臣がプライベートなところで発言しても、「立場上、そのような発言はふさわしくない。OO大臣の罷免を要求する」とよく言う批判精神旺盛な民主党。その民主党民主党幹事長鳩山のダライ・ラマの会談は個人的な会談だなんてよく言えたものだ。それに、ここで民主党チベット問題を「内政問題」として取り扱ってしまった。>この時点で、中共の思うつぼにはまってしまった。一度、チベット問題を内政問題として認めてしまえば、次に相手は「内政干渉をやめよ」と迫るに決まっている。そして、「内政干渉をやめよ」と言われれば、次に返す言葉がなくなる。チベット問題を「内政問題」と認めてしまった時点で、民主党チベット問題を中共に対して主張できなくなってしまったのだ。それにしても、野党の幹事長が一度会っただけで、ここまで執拗な非難をしてくる中共は異常である。<というより、中共の本質が露呈したと見た方がよい。中共は世論操作のエキスパートである。国内だけでなく、外国の世論操作もきめが細かい。修羅をくぐっていない日本の二世議員など、いとも簡単に操作できる。日本の与党、野党の力関係、それに世論を、総合的に考えれば、鳩山などの、頭で考えるひなちょこ幹事長、それに野心家の小沢など、一寸した算数問題を解くが如く簡単に落ちる。脅しと飴を適当にブレンドすれば、ナンってことはないと、中共幹部といわず下っぱ共産党員でもすぐに対応ができる。「この程度のこと、中央政府に問い正さなくても、簡単なことよ」と笑っていることであろう。つづく