チベット大虐殺と朝日新聞#10

チベット大虐殺と朝日新聞#10
「人民は国家にたいして共産するだけではなく、すべてのものを共にすることができます」という箇所は、共産主義者毛沢東の発言ではなく、孫文の発言であることに注目すべきである。
  また、孫文を国父と仰ぐ台湾の国歌は次のようである。
 「三民主義は、我が党の指針。
  これで民国を建設し、大同に進む。
  ああ、あなた方多くの人々は、民に為の模範となって、
  朝から夜まで怠けることなく、主義に従おう。
  勤勉であれ、勇敢であれ、必ず信じ必ず忠実であれ、
  心と美徳を一つにして、最後まで貫徹しよう。」
  
 「大同」や「大同世界」とは何を意味しているのだろうか。「大同」という言葉が中国大陸で流行したのは、康有為による「大同書」の出版の後である。康有為は清朝の政治家であると同時に公羊学派の学者でもある。公羊学派とは孔子が著したとされている「春秋」を「公羊伝」に依りながら解釈する学派である。その大きな特徴として、孔子の抱いていたとされる理想の政治の世界を実際に実現しようとする理想主義的政治思想をもっていることが挙げられる。公羊学派の学者であり、政治家でもあった康有為が、自らの理想を描いたのが「大同書」である。「大同世界」とは、そこに描かれたユートピアに他ならない。
  それでは、「大同書」のなかにいかなるユートピアが描かれているか。康有為は9項目を挙げみる。
1) 国界を去って大地を合す(国境があるために戦争が起こる)。
2) 級界を去って民族を平らにす(身分差別を撤廃する)。
3) 種界を去って人類同じくす(人種差別を無くすために異人種同士を交配させ、一つの人種を作り上げる)。
4) 形界を去って独立を保つ(男女差別の撤退)。
5) 家界を去って天民となる(家族制度の撤廃)。
6) 産界を去って生行を公にす(私有財産制度の撤廃)。
7) 乱界を去って太平を治む(大同世界における具体的な行政制度の説明)。
8) 類界を去って衆生を愛す(殺生の禁止)
9) 苦界を去って極楽に至る(神仏の学が興り、人類は地球を出て、他の星に遊ぶことが可能になる)。
  実にマルクス主義に類似し、最後の地球を離れ、他の星への云々の段になると、マルクス主義を超えてカルト宗教に達していると言わざるをえない。これこそが康有為が説き、孫文が憧れてやまない「大同世界」なのである。
  孫文の思想に従うのなら、次のごとくとなる。
 漢民族の使命とは、未だに中華化されていない野蛮な民族たちを中華化し、大同世界の実現を目指す。大同世界が、共産主義社会であるということを考えれば、孫文の思想とは、漢民族が他の民族を侵略し、共産主義社会を建設することとほとんど変わりがないことになる。そう考えてみると、孫文中共において国父
と仰がれている理由が理解できる。実のところ毛沢東とは孫文思想の忠実な後継者に他ならない。チベットにおける文化破壊、大量虐殺は、大同世界(=共産主義社会)の実現のための手段に他ならない。
  理想社会の建設を真剣に目指す者は、時折過激な暴力主義者となる。抵抗勢力を一掃した後に建設される理想社会を思えば、わずかばかりの抵抗勢力を抹殺しても構わないという思想に至るからである。そして、「抵抗勢力を抹殺しても構わない」との考えは、いつしか「抵抗勢力を抹殺しなければならない」という脅迫観念に変わっていく、理想主義者からテロリストへの転換である。

第6章 中国に媚び諂(へつら)う恥ずべき政治家の面々
  2008年、中共北京オリンピックを開催することとなった。中共チベット侵略を正当化するため、チベット併合を既成事実として堂々と世界に誇ろうとして、オリンピックを利用しようとした。その証拠として、例えば、北京オリンピックのマスコットに、チベットの動物であるジャイアントパンダチベットカモシカが選ばれている。また、世界で顰蹙(ひんしゅく)を買った聖火リレーだが、わざわざチョモランマの頂上にまで運ばせている。しかも、チベット人の女性に山頂でトーチをかざさせたのだ。つい数ヶ月の民族独立運動に対し、徹底的に鎮圧をおこなった中共が、まるでチベット人をも含めて「一つの中国人」であるかのごとき演出を行なったのだ。聖火は山頂から30メートルの地点でトーチに点火を行い、チベット人漢民族の順番で交互に5人によるリレーを行なった。彼らが山頂に達すると、チベット人も含めた隊員たちが「中国万歳!」と叫んだという。
  こうした場面を世界に流すことによって、チベットは中国の一部であり、ダライ・ラマ一派はその分裂を試みる「分裂主義者」だと決め付けたかったのであろう。しかし、世界の目は中共に欺かれるほど甘くはなかった。とりわけ欧米の「人権派」が、この中共のオリンピックの政治利用に抗議の声が上がった。2002年4月24日、BBCインタビューに対して、ジャック・ロゲIOC会長は「オリンピックが中国の人権を改善すると確信しています」と発言したが、人権状況は悪化しているのは明らかである。このことを、どこよりも強く抗議の声を上げたのは、アムネスティー・インターナショナルである。事務総長のアイリーン・カーンは「活動家に対する弾圧は、オリンピックで弱まるどころか強化されている」と指摘し、「オリンピックがわずか4ヶ月後に迫っており、IOCと世界各国の指導者はしっかりと声を上げなければならない。懸念を表明し公的に改革を要求することができなければ、彼らは北京オリンピックの準備過程で中国政府によって引き起こされた人権侵害に対して暗黙の承認を与えたと受け取られてもしかたがない」と世界各国の指導者並びにIOCに警告を発している(2008年4月1日)、かなり強い調子の警告であった。
この警告に応えるように、イギリスのブラウン首相、ドイツのメルケル首相を始めとする各国の首脳が、北京オリンピックの開会式をボイコットすることを表明し、ブラウン首相は5月23日に、非公式という形を取りながらもダライ・ラマと会談を行なっている。また、イギリスでは下院外交委員会でダライ・ラマ自身がチベットの現状について証言し、中共の過酷なチベット人弾圧を非難した。また、政治の世界のみならず、民間でも中共に対する非難の声は世界中で高まった。例えば映画監督スティーブン・スピルバーグ中共の人権弾圧に対して反対の声を上げた。彼は当初予定されていた北京オリンピックの開会式、閉会式の顧問を、中共に抗議するために辞退した。これは直接的にチベット問題と関わりがないが、スーダンダルフール虐殺に中共が手を貸していることへの抗議だった。また、日本で「もったいない」という言葉を流行語にしたケニアワンガリ・マータイも「チベットの声に耳を傾けよ」と抗議して、聖火リレーへの参加を辞退している。そして、各国では中共聖火リレーに対して、数多くの市民が抗議の声を上げたのである。
<この一連の動きをアメリカで見ていたが、日本人の人権意識が非常に弱いことに恥ずかしさと、苛立ちをおぼえた。チベット事情にしても中共チベット弾圧に対してもマスコミの偏向した報道に洗脳されているのか、実にふがいない。現在中共を抜きにして日本の経済はなりたたない。そのことと人権問題は別である。オリンピックを前に、チベット弾圧の実情を世界に知らせようとするチベット人の命がけの訴えが理解していない。これこそ国際感覚の欠如と言わざるをえない。萩原欣一(この名前だったかな)の政治感覚ゼロのタレントおじさんが、聖火リレーランナーになったことを名誉であるがごとき言動、赤面の至りである。星野という少しは骨のある監督であると思っていたが、彼も参加をする始末。卓球の愛ちゃんは胡錦濤と卓球をするサービスぶり。子どもの頃から、中共を度々訪れ、中国語も中国人並みという中国大好きな愛ちゃん、民間外交として中国サービスも分からないわけではないが、また日中関係で彼女のようなガス抜き的な存在も必要であることは認めるが、彼女が反骨精神の大学、早稲田の学生とくるから、一世代前の早稲田出身者はこれも赤面だろう。>
つづく